三味線 音色の聴き分け方|上達最大の秘訣は「深く聴こえること」〜音色の秘密:複雑な倍音とは〜

上達の最大の秘訣は「練習量」ではなく、深く聴こえることです。 人は“聞こえる音”しか表現できず、深く聴こえない状態でどれほど熱心に練習しても、上達は頭打ちになりやすい。 本動画では、音を「振動」として捉え直し、倍音(整数次倍音)と雑味(非整数次倍音)という観点から、 三味線特有の音色=「複雑な倍音」がどのように生まれるか(皮とサワリ)を整理します。 さらに、聴き耳を立てる訓練と、身体で聴く(重心・呼吸・浸透)という方法を通じて、 “耳では聴こえない音”まで含めた三味線の深さに触れる入口を提示します。

講座紹介(概要)

本動画は、三味線の上達を「弾き方」ではなく「聴き方」から再定義する解説です。 同じ「ド」でも、子供用電子ピアノ・ピアノ・三味線で音色が大きく違うのは、倍音構造が違うからです。 弦楽器は基本として整数次倍音(音階の世界)が発生しますが、三味線はそれに加えて、皮とサワリによって 非整数次倍音=雑味(音階に収まらない複雑さ)を多く含みます。ここに三味線の「複雑な倍音」という秘密があります。 深く聴くためには、(1)正しい知識(倍音・周波数・音域・重厚感など)と、(2)正しい訓練(何に聴き耳を立てるか、 そして身体で聴く)が必要になります。聴こえる世界が変わると、扱える世界が変わり、結果として演奏も変わっていく。 その順序を、実演と概念整理でつないだ一本です。

この講義で立ち上がった問い

内容の記録

Ⅰ.上達最大の秘訣:「深く聴こえること」

・上達は練習量の問題ではなく、まず「どこまで聴こえているか」で決まる

・人は聞こえる音しか表現できない/深く聴こえる人は自然に上達していく

Ⅱ.深く聴くために必要なこと(1):正しい知識

・音は振動であり、耳だけでなく身体でも感知している

・周波数は音の高さを示す/人の可聴域(20Hz〜20kHz)という前提

Ⅲ.同じ「ド」でも音色が全く違う:電子ピアノ/ピアノ/三味線

・音階が同じでも「響きの成分」が違うと、音色は別物になる

・ここに三味線独自の世界(倍音と雑味)がある

Ⅳ.倍音(整数次倍音)の仕組み

・弦の振動は基音に加え、2倍・3倍…の整数倍の振動が同時発生する(倍音)

・ピアノは弦楽器なので倍音があるが、設計として雑音を排除しピュアな音階へ寄せる

Ⅴ.三味線の特徴:倍音(整数次)+雑味(非整数次)=「複雑な倍音」

・三味線は音階成分だけでなく、音階外の複雑な成分が多く含まれる

・これを「複雑な倍音」と呼び、三味線の音色の秘密に位置づける

Ⅵ.複雑さはどこから来るか:皮とサワリ

・皮(胴)は“迷路を複雑にする”装置として、響きの成分を増やす

・サワリは独特の雑味を生み、三味線らしさをさらに強める

Ⅶ.深く聴くために必要なこと(2):正しい訓練

・「耳で聴く」だけでなく、「体で聴く」ことが鍵になる

・訓練の焦点は「何に聴き耳を立てるか」:選択と蓄積が聞こえ方を決める

Ⅷ.例:複雑な倍音に聴き耳を立てる

・倍音の知識があると、同じ音が“より深く”聞こえるようになる

・三味線は皮とサワリで複雑さを作っている、と分かると理解の解像度が上がる

Ⅸ.良い音色の聴き分け(例):音域の広さ/重厚感(低音の響き・深み)

・凡庸な楽器は特定帯域(コーン)を強調しがちで、音域が狭く感じられる

・低音の豊かな響き(重厚感)は制作上難しく、聴き分けの有効指標になる

Ⅹ.体で聴く:重心・呼吸・浸透/耳では聴こえない音の仮説

・体で聴くには重心を下げ、呼吸を深め、音が体に浸透する感覚を育てる

・三味線は“耳では聴こえない音”も発しており、体がそれを聴いている可能性がある

・自然音は可聴域を超える広がりを持つ/三味線はその中間にある、という見立て

※用語整理:本ページでは「倍音」を整数次倍音(音階の成分)として扱い、「雑味」を非整数次倍音(音階に収まりにくい複雑な成分)として整理しています。 三味線の「複雑な倍音」は、皮(胴)とサワリの作用により、これらが同時に立ち上がる現象として説明されています。

初公開:2021-10-08 / 最終更新:2026-02-03