三味線の音色を科学する(1)|音の立ち上がりと快・不快、弦(糸)で何が変わるか

三味線の音は、音階がはっきり出る前に、ほんの一瞬だけ小さな「擦れ音(立ち上がり)」が先行します。 本講座はその“わずか0.02〜0.05秒ほどの現象”に焦点を当て、音色を①立ち上がり ②音階(最大音量) ③残響(余韻)に分解して理解する枠組みを提示します。 立ち上がりは小さく見落とされやすい一方、快・不快の印象を決める要素でもあり、聴覚訓練で聞こえ方が変わります。 さらに、立ち上がりに影響する要素(弦・撥・皮・駒)のうち、とくに弦(糸)の太さ・張り・素材(ナイロン/テトロン/絹)の違いが音色をどう変えるかを比較し、 「美しい雑味と余韻」を核とする三味線の音色設計へ接続します。

講座紹介(概要)

本動画「三味線の音色を科学する(1)」では、三味線の音色を計測データ(音量と周波数)を手がかりに整理し、 とくに音の立ち上がりに注目して解説します。音色は①音の立ち上がり、②音階(最大音量)、③残響(余韻)に分解すると理解しやすく、 今回は「音階が出る直前に生じる小さな擦過音」を聴き分けられるか、という体験から始まります。 立ち上がりは約0.02〜0.05秒の瞬間的現象で、知識と訓練がないと聞き逃しやすい一方、聞こえるようになると三味線全体の聞こえ方が変化します。 また、立ち上がりに影響する要素として弦(糸)・撥・皮・駒を挙げ、今回は弦に限定して、太さ・張り・素材(ナイロン、テトロン、絹)の違いを比較します。 あわせて、三味線の音色の根幹は美しい雑味と余韻であり、そのためにも不快な雑音を最小化したいという立場から、 不快な雑音の知覚が3パターンに分かれること、人工材や硬いものが擦れる状況(弦・撥・駒・合成皮、硬い工法)が原因になりやすいことを整理します。 最後に、三味線は無限の音の世界であり、正確に知覚できるほどに“なぜこの形に至ったか”が理解されていく、という結語で締めくくられます。

この講義で立ち上がった問い

内容の記録

Ⅰ.導入:音階が出る前の小さな音

・発音直前にかすかな擦過音が先行することを提示し、「聴き分けられるか?」を入口にする

Ⅱ.計測結果:音量と周波数グラフ

・三味線の音を科学的に捉え、音量・周波数の観点から現象を説明する

Ⅲ.音色の三分解:①立ち上がり ②音階 ③残響

・音色を三要素に分解すると整理しやすいとし、今回は①立ち上がりに限定する

Ⅳ.立ち上がりの拡大:擦れ音は0.02〜0.05秒

・小さな立ち上がり音を拡大して示し、科学的にも捉えられる瞬間的現象であると説明する

Ⅴ.聴き分けの方法:強調 → 元音へ戻す

・立ち上がり部分を強調した音を提示し、その後に元の音へ戻すことで知覚を整える

・聞こえるようになると、三味線全体の聞こえ方が変わると述べる

Ⅵ.立ち上がりに影響する要素

・影響があるのは弦(糸)・撥・皮・駒であると整理し、今回は弦に絞って解説する

Ⅶ.弦(糸)の太さ・張りと立ち上がり

・糸の太さや張りの違いで、立ち上がりの音が変化することを聴感例で示す

Ⅷ.弦(糸)の素材差:ナイロン/テトロン/絹

・素材の違いを比較し、立ち上がりだけを聞くと差が分かりやすいことを示す

・ナイロンは柔らかく立ち上がりが長めで鈍い印象になりやすい、人工素材は特性が出やすいという整理を行う

Ⅸ.快と不快:美しい雑味と余韻/不快な雑音の最小化

・三味線の音色の根幹は美しい雑味と余韻であり、そのため不快な雑音は最小限にしたいと述べる

・不快な雑音の聞こえ方は3パターン(はっきり聞こえる/なんとなく聞こえる/ほぼ気づかない)に分かれると整理する

Ⅹ.不快な雑音の原因:人工材・硬い擦過音・硬い工法

・人工材や硬いものが擦れる状況(弦・撥・駒・合成皮など)で不快音が生じやすいと指摘する

・音階(②)を強調しすぎる硬い工法も、不快音の要因になり得ると述べる

Ⅺ.結語:無限の音の世界/正確に知覚すること

・三味線は無限の音の世界であり、正確に知覚できるほどに、その形に至った理由が深く理解されると締めくくる

※ご注意:立ち上がりの差は再生環境(スマホ/PCスピーカー等)で分かりにくい場合があります。 可能であれば生音で確認し、弦・撥・駒・皮の組み合わせも含めて総合的に評価してください。

初公開:2022-07-01 / 最終更新:2026-01-21