問いの集約
無意識と演奏──身体・感情・行為のあいだで起きていること
演奏は、意識的な操作や技術だけによって成立しているわけではありません。姿勢や動作の癖、抑圧された感情、原始反射や自律神経の状態といった「無意識の領域」が、音の質や表現の方向性に大きな影響を与えています。本稽古では、意図しているはずの演奏の背後で何が働いているのかを見直し、心身の構造と無意識の働きを手がかりに、演奏そのものを問い直していきました。
この稽古で立ち上がった問い
- ・「美しい動作」とは何を指すのか。形か、働きか。
- ・演奏しているのは「意識としての自分」なのか、それとも無意識の習慣なのか。
- ・感情・情動・衝動は、演奏表現のどこに現れるのか。
- ・無意識のパターンは、音・間・身体運動にどのように影響しているのか。
- ・脳と身体の構造(反射・自律神経・姿勢)は、演奏の質をどのように規定するのか。
- ・「心身を整えること」は、技術訓練とどのように結び付いているのか。
- ・抑圧された感情や記憶に気づき、それを表現へとつなぐには何が必要なのか。
内容の記録
Ⅰ.無意識と身体運動
・反射が残存していると、意図的な動作が成立せず「美しさ」が阻害される
・不要な筋活動が増え、エネルギー消耗と疲労を招く
・疲労は情動・判断・音の選択に影響する
Ⅱ.脳・自律神経・演奏表現
・脳の階層構造と演奏中のモード遷移
・自律神経状態がテンポ・強弱・間に及ぼす影響
・感覚過敏/感覚鈍麻と表現の偏り
Ⅲ.感情と表現のあいだ
・抑圧された感情・初期記憶と演奏のテーマ
・「表現されるものは何か」をめぐる再定義
Ⅳ.介入と訓練のプロセス
・反射の解除と姿勢・動作の再統合
・環世界(自分固有の知覚世界)を自覚する試み
・繰り返されるパターンから離脱するための稽古
※個人や具体的状況に関わる記述は公開していません。 稽古の学びを抽象化し、問いとして共有しています。
※合同稽古とは、演奏ジャンル(長唄・端唄・小唄・地唄・民謡・津軽三味線・語り物 など)を問わず、さまざまな演奏者が集う場です。 そこで扱われるのは、技術、肩書きの優劣や形式の違いではなく、音楽・芸術・伝統芸能に共通する根源的な問いです。 理論の継承と実践を往復しながら、その問いを参加者どうしで探求していく場として開かれています。
初公開:2026-01-07 / 最終更新:2026-01-07