喉を鍛えてはいけない──「和の発声法」日本人に合った発声(概要と3つのポイント)

声の悩みがあると、多くの人は「喉を鍛える」「発声を強くする」方向へ進みがちです。 しかし和の発声法では、まず喉を主役にしないことから始めます。 首まわり(喉の近く)に力が入ると、身体全体が固まり、呼吸も姿勢も連動が止まるためです。 本回は「日本人には日本人の発声がある」という前提から、西洋的発声との違いを示しつつ、 喉ではなく足腰と呼吸で声を支えるという考え方を、具体手順(足裏→母指球)まで整理します。

和の発声法とは、声を押し出す技術ではなく、 身体が使える状態を作り、声が自然に通る条件を整える稽古です。

この回で共有した問い

内容概要

本回は「日本人には日本人の発声がある」という立場から、 西洋的発声(ヴォイストレーニング)と和の発声の違いを、声質・身体の使い方の両面で示す。 中心となる主張は「喉を鍛えてはいけない」。 喉の近く(首)に力が入ると全身が固まり、呼吸も姿勢も使えなくなるため、 高音や人前での発声ほど喉の締め付けが起きやすい。 和の発声では、声は喉の力ではなく、足腰の支持と縦方向の連動で支える。 具体的には、足で床を捉え、身体の支えを下に作ることで、声が出やすくなり、 高い声でも耳が痛い「叫び声」になりにくい。 また「大きい声を出す」のではなく「声を空間に響かせる」ことを目標とし、 そのために日常から足裏感覚を取り戻し、次に母指球に乗れるようにして呼吸の自由度を増やす。 結論として、発声の突破口は喉の足し算ではなく、身体条件(支持・呼吸・緊張)を整える方向にある。

まとめ

「喉を鍛える」は、声を部品として操作しようとする発想に近い。 和の発声が目指すのは、局所を強くすることではなく、身体全体が働ける条件を回復することだ。 地に足がつくほど呼吸は深くなり、声は押し出されるのではなく通っていく。 稽古の核心は、努力の増量ではなく、主役を喉から身体へ戻す――その転換にある。

内容の記録

0.導入:日本人には日本人の発声がある

・西洋的発声と和の発声では、声の出し方/響き方/身体の使い方が異なる

・日本の歌は、日本の発声のほうが感情を伝えやすい局面がある

1.喉を鍛えてはいけない(喉・身体・呼吸)

・首(喉の近く)に力が入ると、全身が固まりやすい

・高い声ほど喉を固めやすく、結果として声が出にくくなることがある

2.足で声を支える(縦の支持)

・和の発声は「足から支える」縦方向の連動を重視する

・喉を締めて叫び声になると、聴いている側が耳の痛さを感じやすい

・足腰が使えるほど、高音でもうるさく聞こえにくい

3.高い声(高音)について

・高音は喉で押し上げる対象ではなく、稽古を通じて“だんだん出る”側面がある

・無理に出すより、まず身体条件を整えることが重要

4.身体を整える:喉ではなく足腰/声を空間に響かせる

・声の悩み(かすれる/裏返る/小さい等)は、足腰が浮いていることと関連する場合がある

・「大きい声を出す」のではなく「より広い空間に響かせる」へ目標を切り替える

・日常生活で足裏感覚を取り戻す(立つ・歩く・揺れに対応する)

5.足の母指球にのる(呼吸を楽にする)

・足裏が感じられるようになったら、次は母指球に乗る感覚を育てる

・母指球荷重は、呼吸の深さや体幹の連動に関わりやすい

・歌う時だけ切り替えるのは難しいため、日常動作で馴染ませる

初公開(動画公開):2021-08-28 / 最終更新:2026-02-16