問いの集約
喉を鍛えてはいけない──「和の発声法」日本人に合った発声(概要と3つのポイント)
声の悩みがあると、多くの人は「喉を鍛える」「発声を強くする」方向へ進みがちです。 しかし和の発声法では、まず喉を主役にしないことから始めます。 首まわり(喉の近く)に力が入ると、身体全体が固まり、呼吸も姿勢も連動が止まるためです。 本回は「日本人には日本人の発声がある」という前提から、西洋的発声との違いを示しつつ、 喉ではなく足腰と呼吸で声を支えるという考え方を、具体手順(足裏→母指球)まで整理します。
和の発声法とは、声を押し出す技術ではなく、 身体が使える状態を作り、声が自然に通る条件を整える稽古です。
この回で共有した問い
- ・なぜ「喉を鍛える」と、かえって声が出にくくなるのか。
- ・首(喉の近く)に力が入ると、なぜ全身が固まってしまうのか。
- ・「足で声を支える」とは、具体的に身体のどこをどう使うことか。
- ・高い声(高音)は、なぜ喉で押し上げるほど不安定になりやすいのか。
- ・「大きい声を出す」のではなく「空間に響かせる」とは何が違うのか。
- ・日常動作(立つ・歩く)で発声の土台を変えられるのはなぜか。
- ・足裏→母指球への荷重は、呼吸や声の通りにどう関わるのか。
内容概要
本回は「日本人には日本人の発声がある」という立場から、 西洋的発声(ヴォイストレーニング)と和の発声の違いを、声質・身体の使い方の両面で示す。 中心となる主張は「喉を鍛えてはいけない」。 喉の近く(首)に力が入ると全身が固まり、呼吸も姿勢も使えなくなるため、 高音や人前での発声ほど喉の締め付けが起きやすい。 和の発声では、声は喉の力ではなく、足腰の支持と縦方向の連動で支える。 具体的には、足で床を捉え、身体の支えを下に作ることで、声が出やすくなり、 高い声でも耳が痛い「叫び声」になりにくい。 また「大きい声を出す」のではなく「声を空間に響かせる」ことを目標とし、 そのために日常から足裏感覚を取り戻し、次に母指球に乗れるようにして呼吸の自由度を増やす。 結論として、発声の突破口は喉の足し算ではなく、身体条件(支持・呼吸・緊張)を整える方向にある。
- 喉(首)に力が入ると全身が固まり、声が通らなくなる
- 声は喉で作るのではなく、足腰の支持(縦の連動)で支える
- 大声を狙うのではなく、空間に響かせる条件(足裏→母指球)を整える
- 高音は喉で押し上げず、身体条件が整うほど出やすくなる
- 日常動作(立つ・歩く)が発声の土台を変える
まとめ
「喉を鍛える」は、声を部品として操作しようとする発想に近い。 和の発声が目指すのは、局所を強くすることではなく、身体全体が働ける条件を回復することだ。 地に足がつくほど呼吸は深くなり、声は押し出されるのではなく通っていく。 稽古の核心は、努力の増量ではなく、主役を喉から身体へ戻す――その転換にある。
内容の記録
0.導入:日本人には日本人の発声がある
・西洋的発声と和の発声では、声の出し方/響き方/身体の使い方が異なる
・日本の歌は、日本の発声のほうが感情を伝えやすい局面がある
1.喉を鍛えてはいけない(喉・身体・呼吸)
・首(喉の近く)に力が入ると、全身が固まりやすい
・高い声ほど喉を固めやすく、結果として声が出にくくなることがある
2.足で声を支える(縦の支持)
・和の発声は「足から支える」縦方向の連動を重視する
・喉を締めて叫び声になると、聴いている側が耳の痛さを感じやすい
・足腰が使えるほど、高音でもうるさく聞こえにくい
3.高い声(高音)について
・高音は喉で押し上げる対象ではなく、稽古を通じて“だんだん出る”側面がある
・無理に出すより、まず身体条件を整えることが重要
4.身体を整える:喉ではなく足腰/声を空間に響かせる
・声の悩み(かすれる/裏返る/小さい等)は、足腰が浮いていることと関連する場合がある
・「大きい声を出す」のではなく「より広い空間に響かせる」へ目標を切り替える
・日常生活で足裏感覚を取り戻す(立つ・歩く・揺れに対応する)
5.足の母指球にのる(呼吸を楽にする)
・足裏が感じられるようになったら、次は母指球に乗る感覚を育てる
・母指球荷重は、呼吸の深さや体幹の連動に関わりやすい
・歌う時だけ切り替えるのは難しいため、日常動作で馴染ませる
初公開(動画公開):2021-08-28 / 最終更新:2026-02-16