日本人のための喉を痛めない発声──「中途半端な西洋発声」をやめる4つのポイント

喉が痛くなる、声がキンキンする、高音や大声が苦しい。 こうした悩みは「努力不足」ではなく、身体の使い方が“喉に集約されている”ことから起きている場合が少なくありません。 本回は、日本人が無意識に身につけやすい中途半端な西洋発声(前へ飛ばす/腹筋で押す/横に大きく開く等)を整理し、 和の発声法の観点から喉を痛めないための4つの要点を提示します。

和の発声法は「新しく身につける」よりも、本来の身体の動きを思い出し、取り戻す方向へ戻すものです。 声は喉の部品ではなく、足裏・骨盤・呼吸・空間まで含む全体の現象として扱います。

この回で共有した問い

内容概要

本回は「日本人のための喉を痛めない発声」を、4つの要点に整理する。 ①中途半端な西洋発声(声を前へ飛ばす/腹筋で押す腹式呼吸/横に大きく開く等)は、 日本古来の身体の方向性と逆になりやすく、違和感や喉負担を生みやすい。 ②声を喉だけで出そうとすると喉を固める動きが起き、硬いものほど壊れやすいように損傷しやすくなる。 声は喉だけでなく、頭頂・後頭部・頬骨・胸・骨盤、条件が整えば足先まで響き得る「全身の現象」である。 まず足腰で支えることが第一段階で、次に全身へ響かせる第二段階へ進む。 ③高音・大声ほど上へ押し上げず、重心を下げて上半身の緊張を抜く。 ④重心が上がると交感神経優位になりやすく、筋緊張や唾液低下などが喉負担と声質劣化を招く。 すり足や母指球の感覚など、足裏の土台づくりが重要になる。 結論として、発声は獲得ではなく「思い出す/取り戻す」方向で設計し直し、 痛みが出たら即休むなど安全を最優先し、個体差を前提に安易な技術化を避ける必要がある。

まとめ

喉を守るとは、喉を鍛えることではなく、喉に集約されていた仕事を全身へ返すことでもある。 声は「作る」対象ではなく、身体の状態と重心、呼吸、そして興奮の質が整ったときに立ち現れる現象である。 和の発声法が「身につける」より「思い出す」と言うのは、 本来の身体秩序へ戻るほど声が自然になり、喉の負担が減るという経験則に基づく。 技術の足し算ではなく、全体性への回帰が発声を変える。

内容の記録

0.導入:喉を痛めない発声は「日本人に合う方向性」へ戻す

・義務教育やマスメディアで「中途半端な西洋発声」が無意識に身につきやすい

・和の発声法は「獲得」ではなく「思い出す/取り戻す」

1.ポイント①:中途半端な西洋発声をやめる

・×声を前に飛ばす → ◯後ろに引く(日本人が得意な方向性)

・×筋トレのような腹式呼吸 → ◯腹筋で押さず、体全体の呼吸として整える

・腹式呼吸は「肺→横隔膜→内臓→骨盤底筋→足裏」まで連動する現象として捉える

2.ポイント②:喉だけで声を出さない

・喉だけで出そうとすると喉を固める → 硬いものほど壊れやすい(柔軟性の喪失)

・声は喉だけでなく、頭頂・後頭部・頬骨・胸などにも響き得る

・条件が整うと、足先まで響く感覚や血流感覚が出る人もいる

3.段階設計:第一段階→第二段階

・第一段階:足腰で声を支える/骨盤で声を作る土台を整える

・第二段階:全身へ響かせ「自分の声が気持ちいい」という感覚が出てくる

・前兆として喉がくすぐったい、咳が出る人もいる(ただし「痛い」は中断)

4.ポイント③:高い声・大きい声に注意する

・高音ほど上へ押し上げがち → 重心を下げ、目線を下げ、上半身の緊張を抜く

・大声ほど上半身に力が入りやすい → 下半身で支えるほど上が緩む

・叫び声/悲鳴に近づく兆候があれば、身体の方向性を下へ戻す

5.ポイント④:重心を上げない(興奮を避ける)

・頑張るほど重心が上がり、交感神経優位になりやすい

・交感神経優位は筋緊張・唾液低下などを通じて喉負担を増やし、声質を硬くする

・伝統芸能の身体は「重心を下げ、上半身を緩め、呼吸を深くする」を基本に持つ

6.足裏の入口:すり足/母指球

・重心を下げる最短の入口として「すり足」が分かりやすい

・母指球に乗る感覚、足裏の土台が縦の全体性を支える

7.結び:個体差と技術化の危険

・喉を痛める理由は人それぞれで、4点は「よくある代表例」

・安易にテクニック化すると逆効果のことがあるため注意

・長期的には直接指導(見立てと調整)が確実な道

初公開(動画公開):2023-10-08 / 最終更新:2026-02-20