解説「自分の音色」──心に響く演奏とは(2) 三味線との出会いと楽器の選び方

スペックや評判で選んだはずなのに、なぜか「何かがおかしい」「これでいいのか」とモヤモヤが残る──。 三味線選びでは、この違和感が放置されやすく、本人も“悩んでいることすら気づかない”ことがあります。 本回は、「自分の音色」とは何かを軸に、頭が求める音(数値化・コントロールしやすい音)と、 心と身体が求める音(快・不快として先に反応する音)の違いを整理します。 そして、試奏や出会いの場で起きる身体反応(呼吸・姿勢・表情)を手がかりに、 長期的に嘘のない音色へ近づくための判断軸を提示します。

この回で共有した問い

定義(このページで言う「自分の音色」)

このページで言う「自分の音色」とは、 頭で作った正解ではなく、心と身体が先に反応する音色(快・不快/呼吸・姿勢・表情の変化として現れる)を指します。 そして他者の心に響くとは、その状態での演奏が結果として嘘なく伝わる、という意味です。

要点(TL;DR)

内容概要

本動画は「心に響く演奏」の条件を、「自分の音色」という観点から整理する。 まず、一定数存在する「頭で選ぶ人」を取り上げ、細棹/中棹/太棹、正寸/短棹、材(花梨・紫檀・紅木・金細等)、 構造(三つ折・延べ棹)や胴、皮といった“スペック”だけで意思決定する傾向を示す。 和楽器には試奏・試聴なしで購入する商習慣もあり、その結果「買ったはずなのに何かがおかしい」という買い替え相談が起きる。 次に、違和感やモヤモヤは“言葉になる前のシグナル”として現れやすく、頭で選んだものは心身に響きにくい点を指摘する。 「自分の音色かどうか」を知る手がかりはインターネット情報ではなく、心と体の反応にあると述べる。 頭は分解・数値化・制御により安心を得るため、音の大きさや明瞭さ、音程の取りやすさなど判断しやすい要素を“良い音”と誤認しやすい。 しかし心身が求める音は、快・不快として思考以前に反応し、心地よさや必然性として立ち上がる。 後半では「必然性」を扱い、試奏で呼吸・姿勢・表情が変わる、感情が揺れる、「これしかない」と確信する等の現象を紹介する。 結論として、自分をごまかさず自分の音色で稽古・演奏するほど、結果として他者の心にも深く響く体験が積み重なる、とまとめる。

結論:「自分の音色」は心身が先に知っている反応として現れ、嘘のない音色で稽古・演奏するほど、結果として他者にも深く響きやすい。

実践チェックリスト(試奏で見るポイント)

※ポイントは「正しい音」よりも、あなたの心身がどう反応するかです。違和感は、言葉になる前の重要なシグナルとして扱ってください。

まとめ

「自分の音色」は、頭で作る正解ではなく、心身が先に知っている反応として現れる。 人は安心のために分解・比較・数値化へ寄りやすいが、そのとき最も大事な「言葉になる前の違和感」を見落としやすい。 音色の選択は好み以上に、その人の人生経験や引き受けの深度と結びつく。 必然性のある出会いでは、呼吸や姿勢、表情が変わり、怖さを伴うほど感情が揺れることもある。 だからこそ、試奏し、身体の反応を手がかりにし、コントロールではなく“整える”側へ戻る。 嘘のない状態で響く音が、結果として他者の心に響く──それが本回の結論である。

初公開:2023-01-27 / 最終更新:2026-02-09