表紙の三味線です。明治8年製作です。三萃園で最も美しい一丁です。
当店に到着してから修復完了するには数年かかりました。修復を通じて江戸時代生まれの職人と
三味線を通じてじっくりと対話をさせてもらいました。
樫材を中心に作成されていて、棹の表に紫檀材を張ってある2枚三味線です。
花梨材、紅木材は昭和初期頃から使用されたようです。古三味線を調査するかぎり、
明治初期の三味線は樫、桜、杉、紫檀材等が中心だったようです。
「優しい」「綺麗」「不思議」…この三味線を当店でご覧になった方のご意見です。
私も「優しさ」という側面を意識して、皮張りや音色の調整をしました。
修復後、この三味線に合うの曲を演奏として「竹田の子守唄」を最初に演奏頂きました。
この三味線は演奏して感涙された方もいらっしゃいます。古曲に目覚める方もいます。
「人の情緒まで届く一丁」そう呼ぶのにふさわしいでしょう。
「この三味線の音色」