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三味線の音色を聞き分けるにはどうしたらいいのか


上達最大の秘訣 それはむやみな練習ではなく「深く聴くこと」です。

人は「聴こえる音」を扱うことができます。


逆に言えば「人は聴こえる音」を表現しています。


目次

動画「三味線の聴き分け方」


本ページは読んでいただくより音も交えて説明できる動画の方がはるかに理解が進みます。


動画だからそこお伝えしやすい内容です。ぜひ参考にしてください。
00:00 上達最大の秘訣「深く聞こえること」聞こえる音は扱うことができる
00:24 深く聴くために必要なこと(1)正しい知識
00:34 音は振動 それを耳と身体で感知している
00:47 周波数と音 音階 人の耳で感知できる範囲
01:28 同じ「ド」 でもこんなに違う 子供用電子ピアノvsピアノvs三味線
01:57 「倍音」についての説明
03:40 三味線は「倍音(音階:整数次倍音)」と「雑味:非整数次倍音」が出ていることが特徴
04:04 三味線の音色の秘密「複雑な倍音」 「複雑さ」は皮とサワリで作られている
06:28 深く聴くために必要なこと(2)正しい訓練 耳:聴き耳を立てる 体:体で聴く
06:47 聴き耳を立てる方法 何に聴き耳を立てているかが重要
07:29 例(1)複雑な倍音に聴き耳を立てる
08:07 例(2)良い楽器の聴き分け方「音域の広さ」「重厚感(低音がよく響く、深み)」
09:19 体で聴く 体で聴くという観点と方法「意識、重心、呼吸」
10:10 音は体に浸透している「音質」
11:11 耳では聴こえない音 三味線は耳では聴こえない音も発している それを体が聴いているという仮説
12:12 三味線の真の面白さ「自然の音を楽器にこめていること」
12:43 自然の音を浴びると
12:53 体で聴くことは自分の外と内側をつなげること
13:53 まとめ

「きく」の語源

深く聴くこと きくの語源

「聞く」・「聴く」という字の語源から「深くきく」ということについて掘り下げます。

「聞く」は横向きの人がピンと耳を張り出す姿が語源です。

つまりお告げに耳を済ますことです。「聖」という感じにも「耳」があります。

またお告げを理解できる聡明な人を「徳」と呼びます。徳の左側を耳に変えると「聴」という字になります。
つまり、古来の「きく」ということには深い意味があるようです。

上達最大の秘訣「深く聴こえること」

上達の最大の秘訣はむやみな練習ではありません。

「深く聴こえること」です。

 

深く聴こえない状態で熱心に練習しても、無駄になることがあります。

 

シンプルで深い経験則があります。

 

それは「人は聴こえる音しか表現できない」ということ。

 

このため深く聴こえる人は自然と上達していきます。

 

深く聴くために必要なことは(1)正しい知識と(2)正しい訓練です。

本ページでは(1)と(2)の概要を簡単にお伝えしたいと考えております。

音は振動 耳と身体で感知している(周波数と音)


音波の振幅を周波数と呼ぶ

音は振動です。それが空気に伝わり人間の耳と身体で感知しています。

 

音の振動「音波」の振幅の速さを周波数(Hz:ヘルツ)と呼びます。

 

低周波だと「低音」、高周波だと「高音」になります。

 

音波の振幅の幅が大きければ「大きな音」、小さければ「小さな音」になります(音量dB)。

 

なお、人の耳で感知できるのは20〜20,000Hzだと言われています。

 

音楽を学ぶ上ではこの基本的な知識はとても大切になります。


人の耳で感知できるのは20〜20000Hz

三味線は「倍音」と「雑味」が出ていることが特徴


↓説明上の簡易的なグラフ化。数値は説明上の一例に過ぎません。
同じドでもこんなに違うピアノと三味線

三味線の音色は「倍音」と「雑味」が出ていることが特徴です。


「倍音」:弦をある周波数で振動させると、その周波数の振動数の整数倍の音が自然に発生する弦楽器の特性を示す言葉です。

「雑味」:簡単に定義すると音階(ドレミ)以外の音と捉えてください。


例えば子供用の電子ピアノは「ド」(一例:263Hz:弦楽器ではありませんから単音しか出ていません)


例えば西洋楽器のピアノは弦楽器ですから「ド」と整数倍の倍音が出ています(上図参照)。


三味線はそれに加えて非整数次倍の倍音もでています。これは「複雑な倍音」とも言われます。これが三味線の音色の特徴なのです。


なお、これを厳密に理解するには「倍音」を理解しなくてはいけませんが、説明が長くなってしまいますので、

倍音について詳しく知りたい方は動画「三味線の聴き分け方」を参照ください。

(倍音は弦楽器にとって大切な基本的知識です)


三味線の音の特徴 整数次倍音+非整数次倍音
↑数値は説明上の一例に過ぎません。

音色の秘密「複雑な倍音」(サワリと皮)


三味線の皮とサワリ

この複雑な倍音を発するのは、主に三味線の皮とサワリの機能です。


「皮」は弦の振動を増幅し、さらに複雑にする役割があります。


「サワリ」は弦の振動に雑味を入れることで音色を複雑にする役割があります。


これから生まれるのが「複雑な倍音」で、この複雑さこそが三味線の音色の秘密になります。

耳:聴き耳を立てる 体:身体で聴く


三味線を聞き分ける訓練方法

音を聴き分けるには正しい情報を元に訓練も必要です。


まずは今回説明した内容を元にぜひ「聴き耳を立て」てみてください。


おそらく音が違って聴こえると思います。



また、音は耳だけで聴いているのではありません。

まだ科学的に完全に証明されているわけではありませんが「身体で聴いている」という観点がとても大切です。


これができるようになると三味線のみならず、日本の古典芸能の本当の面白さに気づくきっかけになるでしょう。

最後に


本内容をより理解いただくには音を聴きながら理解いただくことが最善です。

詳しく知りたい方は動画「三味線の聴き分け方」を参照ください。


参考文献

 白川静 常用字解 平凡社
 

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