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三味線の調弦・チューニング・調律の基礎


 「調弦3年ツボ8年」三味線の格言です。

 三味線の調弦の大切さは、三味線を習得しておおよそ10年してようやくわかることです。

 三味線は基本的には師匠から学んでください。三味線は原則師匠から学ぶものです。

 それを前提に、ある程度、三味線の調弦 (調律・チューニング)が補完できるよう本ページを作成しました。

(1)三味線の調弦の基本

(2)弦の長さは「上駒〜駒」、糸巻きで弦を張る

(3)三味線の調弦表

(4)調弦器1:調子笛

(5)調弦器2:専用チューナー

(6)調弦器3:スマフォアプリ

(7)最終的には自分の体で覚える

(8)サワリ

(9)最後に



(1)三味線の調弦(チューニング、調律)の基本

三味線の調弦表

三味線を演奏する前に必須となるのが、調弦(チューニング、調律)です。

三味線の三本の弦には決まった音程があり、それを1本ずつ正確に合わせていきます。

@用語「本調子、二上り、三下り」

三味線の調弦には「本調子」「二上り」「三下り」の3種類があります。
開放の音(弦を押さえない音)を出したとき、
「本調子」に対して「2の糸が高い」のが「二上り」
「本調子」に対して「3の糸が低い」のが「三下り」
 と呼びます。

【具体的な例】
「4本の本調子」:「1糸⇒ド、2糸⇒ファ、3糸⇒ド」
「4本の二上り」:「1糸⇒ド、2糸⇒ソ、3糸⇒ド」
「4本の三下り」:「1糸⇒ド、2糸⇒ファ、3糸⇒ラ#」


A用語「○本」

図の左端の「○本」の意味ですが、これは、音の高さを表しています。
三味線はもともと伴奏楽器です。
唄も入る演奏は、歌い手の声の高さによって音の高さを変える必要があります。

そこで、ピアノだったら鍵盤の位置が変わるわけですが、
三味線の場合は、弾く位置はそのままで、もともとの音を変えてしまいます。
1の糸を基準として、1本がラ、2本がラの#・・・・と数が大きくなるほど半音ずつ高くなっていきます。
このため、前述の4本はドになります。

参考 調弦本数による音色の違い4本→8本


(2)弦の長さは「上駒〜駒」、糸巻きで弦を張る

三味線の調弦表

弦の長さは上駒と駒で決まります。つまり弦が振動する箇所です。

上駒は固定されていますが、駒は移動することができるので、駒の位置の定位置を決めましょう。

・糸巻きで弦を張る(音の高低の調整)


弦は糸巻きで弦を張ることで音の高低が調整されます。
弦を張ると音が高くなります。
弦を緩めると音が低くなります。


(3)三味線の調弦表

三味線の調弦表_123表記 三味線の調弦表_ABC表記 三味線の調弦表_ドレミ表記

調弦表には数字表記(1,2,3・・・)、アルファベット表記(A,A#,B・・・)、ドレミ表記があります。

「調子笛」は数字表記かアルファベット表記、「チューナー」は主にアルファベット表記を利用します。

代表的な4本の音を以下から聞けるようにしています


「4本本調子」C-F-C

「4本二上り」C-G-C

「4本三下り」C-F-A#


(4)調弦器1:調子笛

三味線の調弦表

調子笛にはアルファベット表記でどこを吹けばどの音になるか記載してあります。

代表的な4本の二上りは
チューナーで1の糸-2の糸-3の糸=ド(C,4)-ソ(G,11)-ド(C,4) 
に合うように調整します。

初心者の場合、調子笛ではわかりにくい場合もあります。
この場合はまず、チューナーで慣れてから調子笛に挑みましょう。



(5)調弦器2:専用チューナー

三味線の調弦表

専用チューナーはKORGの三味線用チューナーをお勧めします。
次項のスマホアプリでも代用可能ではありますが
結局は専用チューナに行き着く方が多いです。

代表的な4本の二上りは
チューナーで1の糸-2の糸-3の糸=ド(C)-ソ(G)-ド(C) 
に合うように調整します。
動画を確認しながら使い方を習得しましょう。

また、チューナー用ピックアップ(例:KORG CM300,SEIKO STM30)を購入すれば、
演奏会のような音の大きい環境でもチューニングが可能になります


(6)調弦器3:スマホアプリ

三味線の調弦表

ギターなどの弦楽器の経験がある方は、スマホアプリのチューナーを利用できるかもしれません。

ただし、三味線専用ではないので本数、調子、弦に合わせて自分で都度設定しなければなりません。

スマホや普通のチューナーの扱いに詳しい方はこちらも選択肢です。


(7)最終的には自分の体で覚える


チューナーや調子笛で調弦することに慣れたら、調弦器を使わずに調弦しましょう。

要するに体で覚えるという状態です。目安は「5〜10年」です。


(8)サワリ

三味線の調弦表

東(吾妻)サワリがある三味線は調弦中にはサワリの調整もしてください。

東(吾妻)サワリは糸がより響くように、また他の糸とより共鳴するようにする役割があります。
響き方は後ろのネジで調整できます。響かせ方はジャンル毎や好みで異なります。

いろいろ試してください。


(9)最後に


もう一度「調弦3年、ツボ8年」という格言を思い出してください。

表面的な音を合わせるのになぜそれだけ必要なのか と疑問に持たれた方もいると思います。

三味線で大切なのは「余韻」です。

一つの解釈は「余韻」もしっかり扱えるようになるのに8年必要だということです。

調弦は本当に奥が深いです。良き先生とともに、しっかりと調弦を習得してください。

参考「余韻について」

ご興味を持っていただけた方に

本ページでご紹介したことは上達のほんの一部にすぎません。
三味線は400年の歴史が有り、奥が深すぎるため、三味線の音色をお伝えするのは簡単ではありません。
さらに興味がある方は以下をご覧ください。

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