三味線の音色の探求

正しい三味線の知識を得ることは、正しい稽古をするのと同じくらい大切です。

ここでは「三萃園が大切にしている音色」を、余韻浸透性日本の美意識(自然/雑味)という切り口で、できるだけ分かりやすく整理します。

三味線の音色の説明(余韻・浸透性・美意識)
※音色は「耳」だけでなく「身体全体」で感じ取られます。

このページで扱うこと

当店が大切にしている三味線の音色

三萃園では、音色を説明する際に、主に次の10点を使って整理することが多いです。 (すべてを一度に理解する必要はありません。まずは「余韻」と「浸透性」だけでも十分です。)

  • 自然との調和
  • 余韻
  • 遠音(とおね)
  • 生命のリズム
  • 複雑な倍音
  • 音の包囲性
  • 音の浸透性
  • 環境による変化の余地
  • 音色と耐久性のバランスの良い皮はり
  • 陰陽

本記事では、この中から特に重要な 「余韻」「音の浸透性」「自然/雑味(日本の美意識)」 を中心に、要点だけをまとめます。

「余韻」について

日本の音楽は、和音や大きな音量よりも、一音に宿る美を大切にしてきました。
そのため三味線において「余韻」は、キーワード中のキーワードです。

余韻(よいん):弦の振動の「後」や「裏」で響く、かすかで繊細な音。
これを少し意識するだけでも、三味線はまったく違って聴こえてきます。

参考(動画チャプター)
00:26 余韻とは/01:17 余韻がなくなるとどうなるか/05:49 価値と余韻/08:36 余韻の特徴(かすか・変わる・ゆらぐ)

(少なくとも)三味線は3回鳴っている

弦の揺れと共鳴

三味線は「打弦楽器」です。つまり太鼓(胴)の組み合わせです。
胴(太鼓)があることで、独特の余韻や響きが生まれます。

主に次の3つが重なって鳴っています(最低限の整理として)。

  • (1)弦が振動する音
  • (2)弦・皮・駒をループする音(戻ってくる響き)
  • (3)胴の中で立つ音(空間の響き)

(1)は分かりやすいのですが、肝心なのは(2)と(3)です。
かすかな音に耳を傾ける感性が育つほど、三味線は「豊かに」聴こえるようになります。

音の浸透性について:近年増えている「突き刺さる音色」

音は体で聞いている

基本中の基本ですが、音は「耳」だけで聴いているのではありません。
人は皮膚も含めた身体全体で音を感じ取っています。

近年、「体に刺さるような音色」「聴いていて疲れる」という感想を持つ方が増えています。
三萃園では、これはしばしば“耳だけ”に最適化された音色で起きやすい現象だと考えています。

だからこそ、音色は「耳の好み」だけでなく、身体の反応も含めて確かめる必要があります。

音は体にも浸透する

音の浸透性

三味線の本質的な特徴の一つは、音が深い部分へ優しく浸透していく感覚が生まれやすいことです。
これは「音が大きい/派手」という話ではありません。

われわれは皮膚で聴き、足で聴いている。われわれは、頭蓋のボックスや、腹部や、胸郭で聴いている。
われわれは筋肉や、神経や、腱で聴いている。

三萃園では、この「浸透性」を大切にし、深い部分に向かって優しく作用するように仕立てています。

三味線の音色が身体に浸透すること(体験談)

昭和期の三味線の響き

「音が身体に浸透すること」を実感された方の感想(要旨)です。

三味線歴10年以上のある女性:
「練習すると疲れてしまい、努力が足りないのだと思っていました。
しかし試奏で“伝統的な音色”を知ったとき、演奏するほど身体が緩んでいく感覚があり、
不思議と涙が出て、昔のことを思い出しました。」

※個人の感想であり、感じ方には個人差があります。

自然との調和について:日本の美意識「自然と雑味」

三味線の音色は、完全に整った“きれいさ”だけでは語れません。
日本の美意識(自然、雑味、ゆらぎ)と結びつくことで、音に「生きた質感」が生まれます。

上記動画の解説:音色の秘密をさらに知りたい方へ

「三味線と西洋楽器の違い」「雑味」「聴こえない音」「ゆらぎ」など、もう一段深い整理をしています。

参考(動画テーマ)
雑味/聴こえない音/ゆらぎ/大量生産品の音/江戸〜昭和初期の音色 など

まとめ:音色を判断するときの要点

  • 余韻は「音の後ろ」にある(かすかな響き)
  • 三味線は弦だけでなく、皮・胴を含めて鳴る
  • 音は耳だけでなく、身体全体で感じる(浸透性)
  • 日本の美意識(自然/雑味/ゆらぎ)が音色の核になる

ご興味を持っていただけた方に

本ページでご紹介したことは、音色のほんの一部にすぎません。
さらに学びたい方は、以下の公開情報も参考にしてください。

WEB公開情報・レポート >

参考