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三味線の独学は可能なのか?


三味線の独学は簡単ではありません。

正しい情報を知らず、安易に始めると高い確率で挫折します。


三味線を一人で演奏する様子

目次

三味線を独学で習得する?


西洋の弦楽器 例えばギターを独学で習得される方は多少いらっしゃいます。

身近でもいらっしゃるかもしれません。

では三味線を独学で習得された方は身近にいらっしゃいますか?

"習得"の定義にもよりますが、おそらくいないと思います。

なぜなのでしょうか?

ちなみに著者は一人も知りません。

挫折の4パターン


(1)とりあえず楽器を買ってしまう


インターネットで安価な三味線を購入し、付属の三味線の入門書やYoutubeで何とかなると思って始めてみるが調弦で挫折。

一度もまともに演奏されないまま押し入れの肥やしに。


(2)西洋楽器のように扱えると考えている


ギター等の西洋楽器の経験があるため、何とかなると思って購入し、簡単なメロディーをギターのように弾けるようになるが物足りない。

その先、どうやって本当の三味線らしい音色を出すか理解できずに途方に暮れる。


(3)映像や動画で学べると考えている


教則DVDや有料動画を購入してみるが、出演者の自慢演奏を眺めるだけに終わる。

本当にこの映像や動画で弾けるようになる人はいるのだろうかと途方に暮れる。


(4)教本を読めば学べると考えている


教則本を探すも表層的で浅い内容か有名奏者の自叙伝しかない。

何とか学べないかとインターネットで探すも余計に混乱する。

音楽を知っている人は、いきなり「独学」で始めない


三味線を棹と演奏

以前、バイオリンをセミプロレベルまで習得された方が当方にご来店くださいました。


新たに三味線を始めるとのこと、幅広い音楽の知識と技術をお持ちの方ですので、おおよそ独学で学ぶかというとむしろ逆です。


専門家から直接三味線の特徴を学び、試奏を通じて自分に合った選択をして、三味線講師から基礎をしっかりと学ぶことに取り組まれました。


「それだけの音楽経験があるのなら独学で始めないのですか?」と質問すると
「変な癖をつけたら取り返しがつかない」「時間と労力の無駄だからそんなことはしない」とのことでした。


このように他にも多数の音楽経験者の三味線を始めるサポートに携わってきましたが、
音楽経験がある人や演奏技術を習得することがどんなことなのかがわかっている人(つまり音楽に詳しい人)ほど
「専門家を通じて実物に触れながら学ぶ」「基礎は講師からしっかりと学ぶ」ことを選択されます。

三味線は原則として独学に不向き


三味線という楽器の特徴(一例)をご紹介します。

・一音に美を求める。一音に神が宿るという思想。

・和音やハーモニーへの重み付けが少ない。

・基本的には持ち運べない(土着の音楽)

・正しい感覚や身体技術を身につけるために、ある種、簡単には良い音が出ないように設計されている。

・芸術に自然性を取り入れる:調律された音色を意図的に崩した響き(雑味)に美や楽しさを感じる。

おそらく、言葉を読んだだけでは深く理解できないことがお分かりいただけると思います。


さらに、三味線を含めた日本古来の楽器は、歴史的な背景からも、
単に楽譜通りにメロディーを間違えずに演奏することを主な目的にしていません。

(日本古来の音楽の"楽譜"はそもそも西洋音楽でいうところの"楽譜"とは位置付けが異なります)


三味線をはじめとした日本の伝統芸能の学び方は原則として見て聞いてまねて覚える「口伝(くでん)」です。


これは言葉にできない本当に大切なことを学ぶために確立された手法で、日本人の心身の特徴に合わせた、本当に奥が深い学び方なのです。

とはいえ現実としては「三味線を学ぶ場がない」


しかし、現在の現実として、以下のような意見をいただきます。


・近所に三味線を教えてくれる人がいない

・気軽に学べる場所がない
(不必要に組織の縛りやしきたりが厳しいところを避けたい)

・この人についていきたいと思える師匠がいない

・習い事に通う時間がない

この状況ですので「三味線を始めようと思ってから10年が経過してしまいました」というような意見もいただきます。


このような現実だからこそ独学するしかないという方もいます。


では、このような場合どのような選択肢があるのでしょうか。

どうしても独学で学びたい場合の選択肢


三味線の独学の可能性を比較

(1):教本のみで学ぶ 評価:×


教本のみではほとんど不可能です。時間と労力の無駄となります。(動画、音源だけも同様)


(2):(1)に「動画+音源」を組み合わせる 評価:△


三味線を西洋音楽の理論で解釈し、三味線の楽譜を理解すればメロディー(曲)は成立します。

曲が成立すれば、ある程度楽しめます(西洋楽器の経験必要な場合が多い)。

ここから先、例えば、本来の三味線の音色で三味線らしい演奏をするのには大きな壁があると考えてください。


(3):(2)に「指導を受ける」を組み合わせる 評価:○


最初にしっかりと指導を受け、基礎をしっかりと身につければなんとか独学は可能です。

ただし、一時的指導をしてくれる先生は少数派であることが難点かもしれません。



なお、これらの前提は良い教材、良い動画や映像、良い音源、良い講師と出会えていることが大切です。

まとめ


・三味線は原則としては独学には不向きです。教室に通って学ぶことをおすすめします。


・諸事情で独学を目指す方は、少なくとも、独学に不向きな楽器である認識を持ちましょう。


・ちまたの教則本、教則DVD、youtube動画で三味線を独学できた人はいませんので、無駄な努力はやめましょう(ちまたの三味線入門セットも同様です)。


・基礎だけでも、一度実際に三味線を習い、基礎をしっかり身につけてから独学を開始することをお勧めします。


参考情報


1.三味線の学び方を知る


 三味線の学び方・教室選び

2.独学のための基礎特訓


 三味線 独学 基礎特訓

3.三味線が続けられるかお試ししたい(レンタル)


三味線お試しセット >

三味線 初心者用お試しセット

4.三味線の教本


三味線の教本 >

三味線教則本「三味線の教本」