三味線再入門
「三味線はこんなに奥が深いんですね」――三萃園にお越しになった奏者の方から、田中との会話の中でよくいただく言葉です。
教養(リベラルアーツ)とは、簡単には身に付かないからこそ価値があります。 「教養がある」とは、「自分が何をわかっていないか」がわかることでもあります。
芸事においても、それが見えてくるのはおおよそ「10年」だと私は考えています。 急ぐ必要はありません。自分を信じて、あなた自身のやり方とペースを守ってください。 人の成長は、徐々に、ゆっくりと深まっていくものです。
三味線を切り口に稽古を重ねていくと、世界の見え方や感じ方が開き、 しびれるような喜びが訪れる瞬間が幾度もあります。
しかし現代社会は、経済性や効率、生産性を優先するあまり、 本来大切にすべきものを見失っているようにも思えます。 これは400年の歴史を持つ三味線の世界も例外ではありません。
「簡単に」「誰でも」「すぐに」「普通に」「皆と同じように」「効率よく」「お得に」―― こうした言葉が三味線の世界でも多用されていることに、私は強い違和感を覚えています。
それでも、いまこの文章を読んでくださっているあなたは、 その違和感を感じ取り、この場所にたどり着かれたのだと思います。
「三味線を通して、芸能のしびれるような喜びを共有したい」。 その想いで続けてきた、小さな取り組みの一端が、この『三味線再入門』です。
【内容】
- 三味線を分解してみました
- よくいただく質問「近年の三味線の音色」について
- 100年前の三味線の修復
- 三味線と西洋楽器、稽古とレッスンの違い