三味線の美意識
「三味線を始める時に教えて欲しかった」――三萃園にお越しになった奏者の方から、田中との会話の中でよくいただく言葉です。
とくに、三味線を10年以上演奏されている上級者の方ほど、そうおっしゃいます。 稽古を続けることで、「自分が何をわかっていないか」が経験として見えてくるようになるには、 およそ10年が必要だと言われています。
表紙に掲載している写真は、三味線の共鳴を録音した際のものです。 非常に繊細な音色が収められています。かすかな音に耳を澄ますと、あなたは何を感じるでしょうか。
かすかなものを感じ取るには、鋭敏な感覚と集中力が必要です。 気配、ふるえ、微細な流れ、触れるか触れないかの接触、微細な鼓動―― そうしたものこそが、音と芸の本質です。
物事の本質は、常に「かすかな」ものの中にあります。 それを感知できるようになることが、三味線の稽古が深まった証なのです。
しかし現代では、このような本質に触れる学びの場が減っているように感じます。 それを、私は非常に残念に思っています。
以下の動画でその一旦をお伝えしていますが、本冊子を読んでいただくとより内容を体感しやすくなります。